2014年05月29日

見た映画 永遠の0

2014年1月14日鑑賞。

原作を含め賛否両論あったものの、“観客動員数8週連続1位”“興行収入86億円突破”と大ヒットとなった本作「永遠の0」。

その他にも“サザンオールスターズが主題歌担当”“迫力のVFX”など、話題に事欠かない作品でありました。



1行でストーリーを説明すると、
「実の祖父の存在を知った青年が、零戦パイロットだった彼がどんな思いで特攻出撃をしたのか、真の姿を探る」。(by KINENOTE
つまり、この「青年(とその姉)」がかつての祖父(=宮部久蔵)を知る海軍パイロットたちに話を聞いてまわる“現代”と、彼らが祖父の姿とエピソードを語る“過去”とが交互に描かれていきます。
この形式、シナセンや「シナリオの基礎技術」など新井一先生式にシナリオを学ばれたみなさんには「扇状回想法」という用語でおなじみの形式ですね。



扇状回想法(『シナリオの基礎技術』p256-257)
この形式は、ドラマの進行方向が直線でなく、扇のかなめを中心として一点に終結するので、こういいます。
下図のように、現在時点から始まって回想に行き、また現在時点に戻って再び回想に移り、それが終わって再び現在時点に返るといった形式です。例を挙げるならば、黒沢明作品『羅生門』、オーソン・ウェルズ作品『市民ケーン』がこれに入ります。
senjoukaisouhou.jpg
(中略)
『羅生門』の場合は、一つのことをいろいろな角度から追求しました。『市民ケーン』の場合は、<バラのつぼみ>という誰にもわからない一つのことを、幼年時代、青年時代、得意の絶頂の時代等によって追求しました。ということは共に一つのことを追求していることです。
回想を使って、いろいろな角度からつみ重ねることによって、一つのことを追求する、ということが定義となります。しかし、一つのことを追求するからといって、とまっていてはいけません。回想と回想の間に現実は進行していなければならないのです。
現実@→回想@→現実A→回想A
現実@と現実Aとの間では変化していなければ、テンポがおちることは前に述べた通りです。

(引用内原文ママ)

原作未読ですが、おそらく原作も同様な構成なのでしょう。
本作も、引用内で例とされていた『羅生門』『市民ケーン』同様、「実の祖父」が特攻出撃した真意を孫である姉弟が追求する――つまり“一つのことを追求する”ために扇状回想法が使われています。
では本作で、その使用が功を奏していたかと申しますと――。

いろいろご意見はあるでしょうが、わたしにはいまひとつ効果を発揮していなかったように感じられました。
“過去”の主人公である宮部久蔵のドラマと“現代”の主人公である彼の孫の青年のドラマが、うまく結びついていないように思えるのです。
もっと言ってしまえば、“現代”パートの主人公のドラマが弱すぎるため彼の人物像が浮き彫りになってこないのです。
“過去”のエピソードに対するリアクションばかりに見えてしまいました。
(じつは、岡田准一さん演じる宮部久蔵も、他人からみた姿ばかりなので彼の本心や葛藤は想像するほかなく、感情移入しにくい人物ではあるのですが)
唯一、“現代”でドラマチックなのは、青年と田中泯さん扮する元海軍パイロットとが対峙する場面。
でもこれにしても、作劇としてどうこうというよりも、田中泯さんの存在感に、おんぶにだっこという印象でした。

本作についてのレビューを散見したなかで、参考になったものをいくつかご紹介いたします。

『永遠の0』の何が問題なのか? | 冷泉彰彦 | コラム&ブログ
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

非常にバランスよくシンプルに、本作の核心を突いています。

映画「永遠の0」レビュー、空気の支配に抗う男を描くことができたのか
Film Goes With Net

宮部久蔵という人物を描く上での疑問点や誤り(と思われる点)が挙げられています。

樋口尚文の千夜千本 第8夜 「永遠の0」(山崎貴監督)

俳優陣に焦点を当てて本作を語っていらっしゃいます。

7月にはDVD・Blu-rayも発売されるようです。
劇場で見逃してしまった方は、賛否両論だった本作の、あなたにとっての真の姿を確かめてみてください。
posted by 山久友 at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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