2014年05月26日

見た映画 野のなななのか

2014年5月22日鑑賞。

いやぁ、すごいモン見ちまった…。
見終えた直後、そんな想いが胸にふつふつと広がりました。
野のなななのか」。

そんな想いにとらわれた方々はわたしだけではなかったようで、Twitterでもこんなツイートを発見しました。




前作「この空の花 長岡花火物語」の記事を掲載した際、「大林監督にとって、本作はデジタル映画のデビュー作」と書きました。
だとすれば本作はデジタル映画第2作目。
しかして、その実態はどうなっていたでしょうか。
前作が旅人としての監督が長岡を語る作品だったのに対し、北海道芦別市を舞台とした「(監督いわく)古里映画」の体裁を取りながら、きわめて大林宣彦監督の好みと抜き差しならない独自性を詰め込んだ「個人映画」となっていました。
つまり、「16mmフィルム三部作」と称される作品群「Complex=微熱の玻璃あるいは悲しい饒舌ワルツに乗って葬列の散歩道」「EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ」「CONFESSION=遥かなるあこがれギロチン恋の旅」と、やってること・やりたがってることは少しも変わらないのです。
(大林宣彦監督の、8ミリおよび16ミリ時代の作品までを含めた詳細なフィルモグラフィーは「大林作品年譜|OBs東海」に詳しいです。リンク先の1944年から1963年までの“35mm”とされている作品群は8mm作品と思われます)

 ←「16mmフィルム三部作」はこちらに収録

2時間51分に及ぶ、めまぐるしいイメージとセリフ(とモノローグ)の横溢を目の当たりにすると、人によっては面食らってしまうかもしれません。
でも、わたしは鑑賞途中「この豊穣なる映画もいつかは区切りを迎えてその流れを止めてしまうのだ」という“当たり前”に殊更に気づき、耐え難い寂寥感に襲われたのです。

本作は、VFXを駆使したハリウッド映画などとは別の意味でのアトラクション映画。
「見る」というよりも「体験する」映画です。
すでに「映画」という範疇をも超えたナニモノかに変貌しているといえるかもしれません。
そういう意味で、いわゆる映画的な“意味”や“コンテクスト”や“カタルシス”は崩壊してしまっています。
でも、劇場に足を運んで「目の当たりにする」「体験する」価値がある作品だと信じて疑いません。

いくつか拝読した本作へのレビューで、わたしの琴線に触れた2編を紹介いたします。
まずひとつはこちら。

野のなななのか|今日も映画馬鹿。

短い中に的確に、本作のエッセンスが盛り込まれています。

もうひとつはこちら。
レビューというよりも論考に近いので、多少、いわゆるネタバレ気味な部分もありますので、これから本作をご覧になる方は少々お気をつけください。

樋口尚文の千夜千本 第11夜  「野のなななのか」(大林宣彦監督)

本レビュー内の以下の一節は、本作の本質を突いているといえます。

“(前略)前作『この空の花』では長岡の土地と歴史と原爆をめぐる逸話がよそ者のジャーナリストである松雪泰子の目線でニュートラルに綴られ、彼女自身の成長譚にリンクしていたのに対して、本作では物語の導入役を大林映画常連の寺島咲がきびきびと務めながら、入れ子状の回想の核心部分には老いた光男の巨大な喪失感にとらわれたような(感じに私には見えたが)語りをもって踏み込まれる。もちろんその品川徹という語りの主体は大林宣彦その人と大いに重なるものを感じさせ、本作は『この空の花』に比べると俄然本来の大林映画的な浪漫と性=愛と倒錯美に彩られたものになっていて嬉しい。”

やはり本作は、芦別市在住だった鈴木評詞氏の、きわめて個人的な想いを出発点としている以上、大林監督も個人映画へと立ち戻らざるを得なかったのでしょう。

気の早い話で笑われそうですが、大林監督の次回作が気になって仕方がありません。
老人の域に達して生者と死者の境界を蹴散らす“ヴェテランの少年”は“デジタル”という、自由な玩具にして強力な武器を手にして、これからどんな境地へ羽ばたいて行ってしまうのか。
――その行く末に驚かされるまでは、本作を反芻し、機会があれば二度三度と対峙し、1度の鑑賞では足りなかったあれこれを補って過ごします。

心情過多、言葉足らずの未練は残りますが、言葉に置き換えれば置き換えるほど作品の実像や自分の想いとはかけ離れてしまいそうです。
なので、この辺で筆を止めます。
posted by 山久友 at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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